2分で読む古事記

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27:中巻~神武東征【前編】

神武天皇、日向を出る

神倭伊波礼毘古命(かんやまといわれびこのみこと)こと神武天皇は、兄の彦五瀬命(ひこいつせのみこと)とともに高千穂の宮(宮崎県高千穂町)において、相談事をしました。
「どこの地域に住めば、平和に天下を治められると思う? やっぱり東の地方へ移ろうと思っているのですが」
そうおっしゃると、神武天皇彦五瀬命はすぐさま日向(宮崎県)を出立して筑紫(福岡県)へ向かいました。

豊国の宇沙(大分県宇佐市)に着いた際には、地元民が神武天皇のために御殿を建ててご馳走を献上してくれました。
その後筑紫へ移り、その地で一年ほど過ごします。そして安芸(広島県)まで進み、その地で七年暮らしました。さらに吉備(岡山県)で八年滞在しました。

宇佐神宮
▲宇佐神宮(大分県宇佐市)

サオネツヒコを家来に

それからまたその国を出立し、東に進んでいたときのことです。速汲門(はやすいのと・豊予海峡や明石海峡の説が有力)で、亀の背中に跨って釣りをしながら服の袖を振っている人に出会いました。
 神武天皇は彼を呼び寄せ、
「あなたは誰です?」
と尋ねました。彼は、
「私は地上に住む神です」
と答えます。さらに神武天皇が、
「あなたは海の道に詳しいのですか?」
と尋ねたところ、彼は、
「よく知っています」
と答えました。

さらに神武天皇は、
「私に従って仕えてみませんか?」
と訊きました。彼が、
「お仕えしましょう」
と答えたので、棹を彼に差し渡して船に引き入れ、サオネツヒコ(槁根津彦・椎根津彦)と命名したのでした。彼は大和国造(今の奈良県知事)の先祖にあたります。

こうしてまたさらに東に進み、浪速の渡(なみはやのわたり・大阪府大阪市)を通って、白肩津(しらかたのつ・大阪府東大阪市)に船を泊めました。
その際に登美(とみ・奈良県生駒市、奈良市)の豪族である長髄彦(ながすねひこ)が兵を率いて待ち受けていたので、交戦します。神武天皇は船の中から盾を取り出し、船から降りて立ち向かいました。
そんなわけでその地は盾津と名付けられました。今では日下の蓼津(くさかのたでつ・大阪府東大阪市)と呼ばれていますね。

ウミガメ
▲サオネツヒコはウミガメに乗っていました

彦五瀬命の死

長髄彦(ながすねひこ)との戦いで、彦五瀬命は手に矢が刺さってしまいました。彼は、
「私は日の神の御子なのだからと、日に向かって戦った。これが良くなかった。そのせいで賤しい奴の矢を受けてしまった。今後は回り込んで日を背にして戦うことにしよう」
と誓い、南に回り込んで血沼海(ちぬのうみ・大阪府和泉地方)に辿りつき、ケガをした手の血を洗い流しました。そんな理由でここを血沼海と呼びます。

そしてさらに南に回り込んで紀伊国(和歌山県)の男之水門(おのみなと・和歌山市との説)に至りましたが、彦五瀬命
「賤しい奴から受けた傷で死ぬはめになるとは!」
と雄々しく叫んで亡くなってしまいました。そんないわれで、そこの港のことを男之水門と呼ぶようになりました。彼の御陵は紀伊国の竈山(かまやま・和歌山県和歌山市)にあります。

画像引用:ツーリズムおおいた(http://www.visit-oita.jp/libraries/)

絶叫する男
▲死の雄たけび

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次回更新へつづく


2分で読む古事記もくじ

  1:序文

全体のあらすじと古事記成立過程

 

  2:上巻

天地開闢と
イザナギ・イザナミ

有名

  3:上巻

国生み

有名

  4:上巻

黄泉の国

有名

  5:上巻

黄泉比良坂
(よもつひらさか)

有名

  6:上巻

泣きわめく
スサノオ

 

  7:上巻

誓約(うけい)

有名

  8:上巻

天岩戸
(あまのいわと)

有名

  9:上巻

スサノオ再追放

有名

  10:上巻

ヤマタノオロチ

有名

  11:上巻

因幡のしろうさぎ

有名

  12:上巻

何度も死ぬ大国主

 

  13:上巻

大国主の試練

 

  14:上巻

大国主の妻問い

 

  15:上巻

甚だしい一夫多妻ぶりの大国主

 

  16:上巻

地上界を欲しがるアマテラス

 

  17:上巻

三度目の使者

 

  18:上巻

そっくりさん騒動

 

  19:上巻

大国主の国譲り
【前編】

有名

  20:上巻

大国主の国譲り
【後編】

有名

  21:上巻

天孫降臨

有名

  22:上巻

コノハナノサクヤビメ

 

  23:上巻

海幸山幸【前編】

有名

  24:上巻

海幸山幸【中編】

有名

  25:上巻

海幸山幸【後編】

有名

  26:上巻

神武天皇の誕生

 

  27:中巻

神武東征【前編】

 

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