そこでイザナギとイザナミは話し合い、高天原(たかまがはら)に戻って、天の神たちにどうするべきか相談することにしました。
天の神たちの占いによると、女から先に声を掛けたのが良くないとのこと。プロポーズを再度やり直すように言われました。
再び大きな柱の前に戻って来たイザナギとイザナミは、それぞれ柱を回ります。顔を合わせたところでイザナギが、
「なんてステキな女の人なのでしょう!」
と声を掛け、続いてイザナミが、
「なんてステキな男の人なのでしょう!」
と返しました。
こうして結婚した二柱の神の間に子が生まれます。まずは淡路島(あわじしま・兵庫県)。
続けて四国が生まれ、隠岐の島(おきのしま・島根県)が生まれ、九州が生まれ、壱岐(いき・長崎県)、対馬(つしま・長崎県)が生まれ、佐渡(さど・新潟県)が生まれ、本州が生まれました。
はじめに八つの島が生まれたので、日本は大八島国(おおやしまのくに)と呼ばれるのです。
さらにイザナミは島を生んでいきます。
吉備の児島(きびのこじま・岡山県の児島半島)を生み、小豆島(しょうどしま・香川県)を生み、周防大島(山口県)、姫島(大分県)、五島列島(長崎県)、男女群島(長崎県)を生みました。
国を生んだのに続いて、イザナミはたくさんの神々を生み始めます。その数、十柱。
十柱の神のうち、ハヤアキツヒコ(速秋津比古)とハヤアキツヒメ(速秋津比売)の男女神は港の神様で、川と海を分担してさらに八柱の神々を生みました。
イザナミはさらにさらに神を生みます。風の神を生み、木の神を生み、山の神のオオヤマツミ(大山津見)を生み、野の神のカヤノヒメ(鹿屋野比売)を生みました。
オオヤマツミとカヤノヒメはそれぞれ山と野を分担して、さらに八柱の神々を生みました。
イザナミはさらにさらにさらに三柱の神を生みました。
しかしヒノヤギハヤヲ(火之夜藝速男)を生んだとき、その神は火の神だったために、大やけどを負ってしまい、病床に臥してしまうのです。
重体のイザナミは嘔吐し、その吐瀉物からも神が生まれ、はたまた大小便からも神が生まれました。そのうちの一柱であるワクムスビ(和久産巣日)の娘が、豊受大神として知られ、食物を司っている女神トヨウケビメです。
結局イザナミは、火の神を生んだせいで命を落としてしまいました。
イザナギとイザナミが生みだした島は全部で十四、神は三十五柱になります。