2分で読む古事記

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5:上巻~黄泉比良坂(よもつひらさか)

フルーツが無敵の武器?

イザナミは続いて雷の神たちに千五百もの黄泉の国の軍勢を従わせて、イザナギを追わせました。イザナギは剣を後ろ手に振り回しながら逃げました。

現世と黄泉の国の境目にある黄泉比良坂(よもつひらさか)という坂のふもとまで辿りついたとき、イザナギはそこに生えていた桃の木から桃の実を3つもいで追っ手に投げつけます。すると追っ手は、皆逃げて行きました。
「お前が私を助けてくれたように、人々が苦しみ患うときには皆を助けてやってほしい」
イザナギは桃の木に伝え、木をオオカムヅミ(意富加牟豆美)と命名しました。

桃
▲オオカムヅミ

黄泉比良坂

ところが今度はとうとうイザナミ自身が追い駆けてきました。イザナギは千人もの多人数で引くほどの重さの岩を坂に置いて、道を塞ぎます。
岩を挟んで向かい合ったイザナミに対して、イザナギは離縁を言い渡しました。イザナミは、
「愛しいあなたがこんな仕打ちをするのなら、私はあなたの国の人々を一日に千人絞め殺してしまいましょう」
と言い、
イザナギは、
「ならば私は一日に千五百人ぶんの産屋を建てましょう」
と返しました。

これゆえにこの世では一日に必ず千人が死に、一日に必ず千五百人が産まれるようになったのです。
黄泉比良坂は、今の出雲国(島根県)の伊賦夜坂(いふやさか)のことです。

揖夜神社
▲黄泉比良坂の近くにある揖夜神社(いやじんじゃ・島根県松江市)

イザナギの禊(みそぎ)

こんなことがあったので、イザナギは、
「なんと穢れた醜い国に行っていたことか。身を清めないといけない」
と言って日向(宮崎県)の阿波岐原(あわぎはら・宮崎市)へ向かい、禊をしました。イザナギは禊のために身に着けていた杖・帯・袋・衣・袴・冠・腕輪を放り投げ、放り投げたものからもそれぞれ神が誕生しました。

「上の瀬は水の流れが速い。下の瀬は遅い」。
こう言ってちょうど良い速さの中の瀬に入り、身を清めました。清めている間にもさまざまな神が生まれました。

画像引用:公益社団法人 島根県観光連盟(http://www.kankou-shimane.com/ja/gallery)、公益社団法人 宮崎市観光協会(http://www.miyazaki-city.tourism.or.jp/tourism/spot/85.html)

みそぎ池
▲みそぎ池(宮崎県宮崎市)

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  6:上巻

泣きわめく
スサノオ

 

2分で読む古事記もくじ

  1:序文

全体のあらすじと古事記成立過程

 

  2:上巻

天地開闢と
イザナギ・イザナミ

有名

  3:上巻

国生み

有名

  4:上巻

黄泉の国

有名

  5:上巻

黄泉比良坂
(よもつひらさか)

有名

  6:上巻

泣きわめく
スサノオ

 

  7:上巻

誓約(うけい)

有名

  8:上巻

天岩戸
(あまのいわと)

有名

  9:上巻

スサノオ再追放

有名

  10:上巻

ヤマタノオロチ

有名

  11:上巻

因幡のしろうさぎ

有名

  12:上巻

何度も死ぬ大国主

 

  13:上巻

大国主の試練

 

  14:上巻

大国主の妻問い

 

  15:上巻

甚だしい一夫多妻ぶりの大国主

 

  16:上巻

地上界を欲しがるアマテラス

 

  17:上巻

三度目の使者

 

  18:上巻

そっくりさん騒動

 

  19:上巻

大国主の国譲り
【前編】

有名

  20:上巻

大国主の国譲り
【後編】

有名

  21:上巻

天孫降臨

有名

  22:上巻

コノハナノサクヤビメ

 

  23:上巻

海幸山幸【前編】

有名

  24:上巻

海幸山幸【中編】

有名

  25:上巻

海幸山幸【後編】

有名

  26:上巻

神武天皇の誕生

 

  27:中巻

神武東征【前編】

 

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