2分で読む古事記

海幸山幸【後編】 > 神武天皇の誕生 > 神武東征【前編】

25:上巻~神武天皇の誕生

見るな見るなと言われると

その後、山幸彦の妻・トヨタマヒメがやって来て言いました。
「私、赤ちゃんができました。しかももう臨月なのです。でも高天原の神の子を海の底で産むというのは、ちょっとどうかと思って…
だから来ちゃいました」

トヨタマヒメはすぐに海辺で鵜の羽を屋根に葺いた産屋をこしらえました。ところがまだ屋根を全部葺き終える前に急に産気づいたので、即座に産屋に入りました。
今にももう産まれそう。トヨタマヒメ山幸彦にお願いします。
「海の底の国の住人は、出産時はもともと居た国で暮らしていたときの形になって子を産みます。私も元の形になって産みます。なので決して私を覗かないでください」

ところがそれを聞いた山幸彦は、
「おかしなことを言うもんだなあ…」
と思います。こっそり覗いてみると、なんと10mはあろうかという巨大なサメが、腹ばいになってのたうちまわっていたのでした。見てびっくり。恐くなった山幸彦はスタコラサッサと逃げ出しましてしまったのです。

翼を広げる鵜
▲鵜の羽で屋根を葺く

消えない恋心

トヨタマヒメは覗かれたことを悟ると、恥ずかしさがこみあげてきました。産まれた子を置き去りにし、
「私は海の道を通って海の底とココとの間を通おうと思っていました。でも本当の姿を覗かれ、恥ずかしくてたまりません」
と言い捨てると、海の底への道にバリケードを張ってとっとと帰っちゃったのです。
置き去りにされた子は、ウガヤフキアエズ(天津日高日子波限建鵜草葺不合命)といいます。

しかしながら覗くなと言ったのに覗かれた恨みはあるものの、トヨタマヒメの恋心は消えません。産まれた子の育児を彼女の妹・タマヨリビメ(玉依毘売命)に任せるために、彼女を山幸彦のもとへ遣わして歌を贈りました。

「赤い宝玉に紐を通すと、紐の緒まで赤く光ってステキ。でも白い宝玉のようなあなたはそれ以上にもっとステキです」

真珠
▲白い宝玉「真珠」

神武天皇の誕生

山幸彦もこれに応えて歌を返しました。

「海の沖にある鴨がたくさん住む島で夜を過ごしたあなたのことを、一生忘れません」

そののち、山幸彦は高千穂(たかちほ・宮崎県高千穂町)の宮で580年過ごしました。彼の墓は高千穂の山の西にあります。

彼の子であるウガヤフキアエズは、結局彼を育ててくれた叔母であるタマヨリビメと結婚しました。
産まれた子は、上から彦五瀬命(ひこいつせのみこと)稲飯命(いなひのみこと)三毛入野命(みけいりののみこと)神倭伊波礼毘古命(かんやまといわれびこのみこと・のちの神武天皇)の四兄弟。
そして三毛入野命は海を渡って異国へ、稲飯命は母のふるさとである海の底に移り住みました。

海
▲海にゆかりが深い

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次回更新へつづく


2分で読む古事記もくじ

  1:序文

全体のあらすじと古事記成立過程

 

  2:上巻

天地開闢と
イザナギ・イザナミ

有名

  3:上巻

国生み

有名

  4:上巻

黄泉の国

有名

  5:上巻

黄泉比良坂
(よもつひらさか)

有名

  6:上巻

泣きわめく
スサノオ

 

  7:上巻

誓約(うけい)

有名

  8:上巻

天岩戸
(あまのいわと)

有名

  9:上巻

スサノオ再追放

有名

  10:上巻

ヤマタノオロチ

有名

  11:上巻

因幡のしろうさぎ

有名

  12:上巻

何度も死ぬ大国主

 

  13:上巻

大国主の試練

 

  14:上巻

大国主の妻問い

 

  15:上巻

甚だしい一夫多妻ぶりの大国主

 

  16:上巻

地上界を欲しがるアマテラス

 

  17:上巻

三度目の使者

 

  18:上巻

そっくりさん騒動

 

  19:上巻

大国主の国譲り
【前編】

有名

  20:上巻

大国主の国譲り
【後編】

有名

  21:上巻

天孫降臨

有名

  22:上巻

コノハナノサクヤビメ

 

  23:上巻

海幸山幸【前編】

有名

  24:上巻

海幸山幸【中編】

有名

  25:上巻

海幸山幸【後編】

有名

  26:上巻

神武天皇の誕生

 

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